東京大学 物性研究所 国際超強磁場科学研究施設

令和4年度 第5回 強磁場コラボラトリー オンラインセミナー

磁性量子流体における孤立した半整数スキルミオン

日程 : 2022年9月21日(水) 13:30 - 14:30

場所 : オンライン

講師 : 竹内宏光 講師

所属 : 大阪公立大学大学院理学研究科 物理学専攻

主催 : 強磁場コラボラトリー

世話人 : 大阪大学 鳴海康雄

e-mail : narumi@ahmf.sci.osaka-u.ac.jp

要旨:

スキルミオンは自発的対称性の破れを伴う相転移の結果生じる位相欠陥の一種である。磁性系で知られる磁気スキルミオンは、電子が電荷を運ぶ粒子であるように、磁化ベクトル場中の特徴的な模様(テクスチャ―)を運ぶ粒子(ソリトン)と見なせる。一つのスキルミオンが運ぶ‘電荷’(位相不変量)は位相幾何学的に量子化されており、‘電荷’の最小単位である‘素電荷’をもつスキルミオンのテクスチャー内の磁化ベクトル場は取り得る方向(球面)を‘1回覆う’。本研究では、7Liの冷却原子気体ボース・アインシュタイン凝縮の磁性量子流体中の磁気スキルミオンが、‘素電荷’の半分の‘電荷’をもち得ることを示す。我々はこの構造を偏心半整数スキルミオン(EFS: Eccentric Fractional Skyrmion)[1]と呼んでいる。EFSはベクトル場の特異点として‘偏心軸’を有することでそのテクスチャーは球面を‘半回覆う’。この性質によりEFSは孤立して存在できるという点で、対としてしか存在できないメロン(特徴的なテクスチャーの一種)と明確に区別されるべきである。EFSの具体的な生成機構として、磁壁上で生じるあるスピン流の不安定性(流体力学で知られるケルビン・ヘルムホルツ不安定性の量子流体系の対応物)を提案し、その非平衡ダイナミクスにおいて多数のEFSが生成されることを数値的に示す。

[1] Hiromitsu Takeuchi, Phys. Rev. A 105, 013328 (2022)

どなたでも聴講可能ですが、事前のオンライン登録が必要になります。
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https://forms.gle/RSmCdHAipntZ4BLZA