International MegaGauss Science Laboratory, the Institute for Solid State Physics

(R4) The 2nd High Magnetic Field Collaboratory Online Seminar

強磁場と極低温による静的核偏極標的を使った素粒子原子核研究

日程 : 2022年5月27日(金) 11:00 - 12:00

場所 : オンライン

講師 : 郡 英輝 特任准教授

所属 : 大阪大学 核物理研究センター

主催 : 強磁場コラボラトリー

世話人 : 鳴海 康雄(大阪大学大学院理学研究科)

e-mail : narumi@ahmf.sci.osaka-u.ac.jp

要旨:

私達はSPring-8において、数GeVエネルギーの偏極フォトンのビームを使用して素粒子原子核実験の研究を行っています。様々な中間子や重粒子が生成されるのが魅力であり、粒子生成のメカニズム や粒子の構造を調べるためには、生成断面積だけではなく偏極観測量が重要な役割を果たします。 近年、世界からクォーク4個の粒子、5個の粒子の証拠が報告されていて、エキゾチックな粒子に対する注目が高まっています[1,2]。私達も5個のクォークの粒子の候補を見つけていて[3,4]、 偏極陽子標的を偏極ビームと共に使用して、この粒子の構造を解明したいと考えています。 偏極陽子標的を製作する方法には、静的核偏極法と動的核偏極法があります。私達は極低温(約10 mK)と強磁場(約17 T)を使って、静的核偏極法により水素と重水素が分子を形成するHDという固体を 偏極させる方法を選んできました。最近では時間と人手の節約にために、低温(約1 K)と磁場(2.5 T, 5.0 T)で電子を偏極させてマイクロ波により陽子の核偏極へ移行させる動的核偏極法 にも魅力を感じています。 本セミナーでは、低温強磁場技術が素粒子原子核研究にどのように利用されているかを説明します。

 

[1] H.X. Chen et al. Physics Report 639 (2016) 1

[2] R. Aaij et al. Physical Review Letters 122 (2019) 222001

[3] T. Mibe et al. Physical Review Letters 95 (2005) 182001

[4] H. Kohri et al. Physical Review Letters 104 (2010) 172001