東京大学 物性研究所 国際超強磁場科学研究施設

令和3年度 第4回 強磁場コラボラトリー オンラインセミナー

立体的な曲面構造をもつグラフェンの電子物性

日程 : 2021年7月20日(火) 11:00 - 12:00

場所 : オンライン

講師 : 田邉 洋一

所属 : 岡山理科大学 理学部 基礎理学科

主催 : 強磁場コラボラトリー

世話人 : 東北大学  木村 尚次朗

e-mail : shkimura@imr.tohoku.ac.jp

要旨:

グラフェンは、高い電気伝導性、熱伝導性、光学特性に加えて、安価で軽量、化学耐性、機械耐性に優れた原子層物質です。このグラフェンがもつ特徴を保持したまま立体的な構造を作製すると特異な物性や優れた特性を発揮すると言われており、この予測から幾何学的にいかに綺麗で折り目のない高品質なグラフェンシートを高密度に空間へ詰め込むかがグラフェンを利用したデバイスの特性向上に重要とされ、その物性理解と立体デバイスへの応用を目指した研究が現在盛んに行われています[1]。我々は、これまで、3 次元ナノ多孔質グラフェンという3次元多孔質金属表面上への CVD 合成により作製した立体的な曲面構造をもつグラフェンを舞台として、その電子物性の理解を目指して研究を行ってきました。本講演では、本物質による電気2重層トランジスタの開発とその物性[2]、並びに、グラフェンの曲がり具合を示す曲率半径を意図的に変えた場合の電子物性について紹介します[3]。

 

[1] 例えば、M. Koshino and H. Aoki, Phys. Rev. B 93, 041412 (2016).

[2] Y. Tanabe et al., Adv. Mater. 28, 10304–10310 (2016).

[3] Y. Tanabe et al., Adv. Mater. 32, 2005838 (2020).